
突然、家族の介護が始まると、「何から準備すればいいの?」「介護に必要なものはどこで手に入るの?」と、不安や戸惑いを感じる方も多いのではないでしょうか。
なかでも、日々の介護負担を軽減し、安全な生活を支える「福祉用具」は、初めて介護に直面する方にとって、わからないことが多いものです。
「福祉用具はレンタルできるの?」「購入しなければならないものもあるの?」と、疑問に思うこともあるでしょう。
実は、福祉用具には介護保険を利用してレンタルできるものと、購入が必要なものがあります。また、利用できるサービスや対象となる用具には、それぞれ条件が定められています。
この記事では、在宅介護を始めるご家族に向けて、福祉用具を導入する際に知っておきたい5つのポイントをわかりやすく解説します。必要な福祉用具の選び方や利用方法を知り、安心して介護生活をスタートするための参考にしてください。
1.福祉用具は介護を楽にするためのもの
家族に介護が必要になったとき、「何を準備すればいいのだろう?」と不安や戸惑いを感じる方も多いのではないでしょうか。
介護生活を支えるために準備しておきたいもののひとつが、日常生活の動作をサポートする「福祉用具」です。
福祉用具を上手に活用することで、介護を受ける方の自立した生活を支えるだけでなく、介護するご家族の身体的な負担を軽減することにもつながります。
では、福祉用具にはどのような種類があり、どんな場面で役立つのでしょうか。
ここからは、福祉用具を導入するメリットと、実際の生活で役立つ具体例を交えながら、わかりやすく解説していきます。
福祉用具は、利用者の日常生活をサポートし、介護者の負担を少しでも楽にするためのものです。
突然介護を必要とする状態になっても、福祉用具を使うことで、家族や利用する本人がお互いに安心して生活が送れるようになります。
福祉用具の定義は、福祉用具を使うことで、高齢者(要介護者)が在宅で安心して日常生活が送ることができ、また、体の状態に合わせて生活動作を楽にするためにサポートするものですとなります。
利用者の身体の状況や介護状態が変わりやすいという点から、必要に応じて交換ができるよう福祉用具は原則レンタルでの利用がすすめられています。
介護の負担を楽にするためにも、最適な福祉用具を選定してもらいましょう。
福祉用具の具体例として、以下のようなものがあります。
- 特殊寝台及び床ずれ防止用具(付属品を含む)
- 手すり
- スロープ
- 車いす(付属品含む)
- 歩行器
- 歩行補助つえ
- 体位変換器
- 認知症老人徘徊感知機器
- 移動用リフト(つり具の部分を除く)
- 自動排泄処理装置
2.【借りる】福祉用具を借りる
福祉用具を借りるためには、要介護認定を受ける必要があります。
「要介護認定」とは、どのぐらいの介護が必要なのか介護区分で判断・認定を受けることをいいます。
これは介護度に応じて要支援1から要介護5まで区分が分けられています。
認定を受けることで介護保険が利用できるようになり、それによって利用者の状態にあった福祉用具を借りることができるようになります。
それでは、要介護認定を受けるための手順を簡単に説明します。
要介護認定を受けるまでの流れ
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| ① 申請する | 市区町村の介護保険担当窓口で要介護認定を申請する(地域包括支援センターなどが申請を代行できる場合もあります)。 |
| ② 認定調査を受ける | 市区町村の調査員が自宅などを訪問し、心身の状態や日常生活の状況を確認する。 |
| ③ 主治医意見書を作成してもらう | 市区町村から主治医に依頼し、心身の状態について意見書を作成してもらう。 |
| ④ 審査・判定を受ける | 認定調査の結果や主治医意見書をもとに、介護認定審査会で審査・判定が行われる。 |
| ⑤ 認定結果が届く | 市区町村から要支援1・2、要介護1〜5、または非該当の認定結果が通知される。 |
ポイント: 申請から認定結果の通知までは、原則として30日以内が目安です。ただし、調査や審査の状況によっては時間がかかる場合があります。
主治医意見書とは、介護申請をするための診断書のようなものです
体の状態や認知症の有無など、医師が記入する欄がたくさんありますので、正確な情報を書いてもらえるようにかかりつけの医師がいると安心ですね
認定後に介護保険サービスを利用する際は、要介護度などに応じてケアプランを作成し、必要なサービスや福祉用具の利用を検討します。
日常の生活がほぼ問題なく行える要支援1や要支援2の方は、手すり、歩行器、歩行補助つえ、スロープを借りることができます。
それ以外の福祉用具は、介護認定の区分によって使える物に制限がでます。
ブログ記事にそのまま掲載できるように、介護度別に介護保険を利用してレンタルできる主な福祉用具を表にまとめます。
福祉用具は、要介護度によってレンタルできる品目が異なります。特に、要支援1・2や要介護1では、利用できる品目に制限があるため注意が必要です。
介護度別・レンタルできる主な福祉用具
| 福祉用具の種類 | 要支援1・2 | 要介護1 | 要介護2・3 | 要介護4・5 |
|---|---|---|---|---|
| 手すり(工事不要) | ○ | ○ | ○ | ○ |
| スロープ(工事不要) | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 歩行器 | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 歩行補助つえ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 車いす・付属品 | 原則対象外 | 原則対象外 | ○ | ○ |
| 特殊寝台(介護用ベッド)・付属品 | 原則対象外 | 原則対象外 | ○ | ○ |
| 床ずれ防止用具 | 原則対象外 | 原則対象外 | ○ | ○ |
| 体位変換器 | 原則対象外 | 原則対象外 | ○ | ○ |
| 認知症老人徘徊感知機器 | 原則対象外 | 原則対象外 | ○ | ○ |
| 移動用リフト | 原則対象外 | 原則対象外 | ○ | ○ |
| 自動排泄処理装置(尿のみを吸引するものを除く) | 原則対象外 | 原則対象外 | 原則対象外 | ○ |
出典:厚生労働省「福祉用具・住宅改修」 をもとに作成。
- ○は、介護保険を利用したレンタルの対象となることを示します。 実際の利用には、本人の身体状況や生活環境に応じた必要性の判断が必要です。
- 「原則対象外」の用具も、身体の状態など一定の条件を満たし、市町村の判断等によって例外的に利用できる場合があります。
- 固定用スロープ、歩行器の一部、歩行補助つえの一部は、レンタルと購入を選択できる制度の対象です。厚生労働省+1
介護度だけで福祉用具を決めるのではなく、本人が何に困っているのか、どのような生活を送りたいのかを考えながら、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員に相談することが大切です。
要支援と要介護では借りられる物が違うので適切なケアマネジメントが必要となります。
3.【借りる】福祉用具レンタルのメリットデメリット
福祉用具をレンタルすると、どのようなメリットデメリットがあるのでしょうか。
介護保険を利用するのとしないのとでは費用面でも差がありそうです。
・メリット
福祉用具レンタルのメリットのひとつは、自己負担額が少ないということです。
介護保険を利用すれば1~3割の自己負担で福祉用具のレンタルが可能です。
例えば、保険適用外の場合、特殊寝台(ベッド)の本人負担額が1万円だとします。
それを、介護保険を使うことにより月額1000円で借りることができます。
また、高さ調節や背上げ・膝上げが可能な高機能な電動ベッドを、少ない自己負担でレンタルすることができるのです。
故障や汚れなどで交換が必要な場合も無料でメンテナンスできますし、修理代金もかかりません。
経済的な負担が少ないこと、また、日々変化していく体の状態に、常に最適な福祉用具を使用することができるという点がレンタルするうえでの最大のメリットだといえます思います。
・デメリット
デメリットのひとつは、レンタル品を使用することによる心理的な不安です。
ベッドやマットレスを使用するときにレンタル品に傷をつけてしまうのではないか、汚してしまったら申し訳ない・・・・・・などといった心配が出てきます。
気兼ねなく自由に使いたい、新品の物を使いたいという方にはレンタルすることはデメリットになるでしょう。
また、長期間レンタルをした場合、レンタル総額が商品を購入するよりも高額になってしまうことがあります。
長期間の介護を見据えて、高額な商品は低価格な中古品などを購入し対応している方もいます。
特に、ベッドなどの高額商品は、レンタルするか、購入した方がよいのかメリットデメリットを考慮しなければなりません。
4.【買う】福祉用具を買う!購入の場合も給付金が出ることも
福祉用具購入にあたり、購入費の9割が返金される制度があります。
これを特定福祉用具販売といいます。
福祉用具購入サービスは年間10万円までが限度で、その1割が自己負担となります。
都道府県の指定を受けた事業所で購入する必要があります。
通信販売やインターネット販売での購入は、介護給付の対象となりません。
特定福祉用具販売の対象商品は以下の5品目です。(要介護度に応じて異なります)
介護保険で購入できる主な福祉用具
| 福祉用具の種類 | 主な用途・特徴 | |
|---|---|---|
| 1 | 腰掛便座(ポータブルトイレなど) | 寝室などに設置して使用でき、コンパクトなものから家具調のものまで、身体状況や住環境に合わせて選べます。 |
| 2 | 簡易浴槽 | 自宅の浴室での入浴が難しい場合などに、居室でも入浴できるようにする用具です。 |
| 3 | 入浴補助用具 | シャワーチェア、浴槽用手すり、浴槽内いす、入浴台(バスボードなど)、浴室内・浴槽内すのこ、入浴用介助ベルトなどがあり、安全な入浴をサポートします。 |
| 4 | 自動排泄処理装置の交換可能部品 | 汚物タンクやレシーバーなど、交換が可能な部品です。 |
| 5 | 移動用リフトのつり具部分 | スリングシートなど、リフトで身体を支え、安全に移乗するために使用します。 |
補足: 介護保険の福祉用具購入費の対象となる品目には、制度上の要件があります。特に、ポータブルトイレは「腰掛便座」、シャワーチェアなどは「入浴補助用具」といった正式な区分で扱われます。購入前に、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員、市区町村の介護保険窓口で対象となるか確認しましょう。
福祉用具以外にも、オムツ・食事関連・衣類などさまざまな商品がありますが、給付金が出るのは上記のみです。
5.【買う】福祉用具購入のメリットデメリット
次に、福祉用具を購入する場合のメリットデメリットを見ていきましょう。
レンタルよりもさらに注意が必要です。
・メリット
福祉用具はすべての商品がレンタルできるわけではありません。
ポータブルトイレやシャワーチェアなど、直接体からだに触れるものはレンタルに適していませんので、衛生面も考慮し、利用者が気持ち良く使えるように購入をおすすめします。
特定福祉販売対象商品のなかには定価が数万円のものもありますので、高額な商品を1割負担で購入できることは、費用負担が軽減され大きなメリットとなります。
比較的低価格な歩行補助つえなどはレンタルも可能ですが、購入することで好みのデザインなどを選べるといったメリットがあります。
・デメリット
福祉用具購入のデメリットは、ベッドなどの大型商品は後々処分費が発生してしまうことです。
買い替えるたびに費用がかかりますので負担も大きくなってしまいます。
また、年間10万円という限度額も、最初の購入から1年間ではなく、4月から翌3月までとなっているため、1年の限度額を超えた分が全額負担になってしまいます。
6.まとめ
福祉用具の利用者数は令和元年度の年間累計受給者数で見ると、予防福祉用具貸与(要支援)で600万人以上、福祉用具貸与(要介護)では2100万人以上が利用しています。
他の介護サービス種別に比べて、福祉用具貸与は多くの方々に利用されていることが分かります。
逆にいえば、それだけ私たちにとっても「福祉用具」は身近な存在だといえます。だからこそ、これを入手するための具体的な方法を覚えておきたいものです。
福祉用具を手に入れるための具体的な方法
・レンタルの場合
- 市町村の介護福祉課や、地域包括支援センター、居宅介護支援事業所に相談
- ケアプラン(福祉用具サービス計画書)を作成
- 福祉用具のレンタル事業者を選ぶ
- 福祉用具専門相談員が利用者の自宅に訪問し最適な福祉用具を選定
- 福祉用具事業者が用具を納品し、安全性や使いやすさを確認
- 福祉用具が決定したら、契約を取り交わす
・保険給付で購入する場合
- 担当ケアマネジャーがいれば、購入したいものを相談してみる
- 担当ケアマネジャーがいない場合、市町村窓口に購入について相談する。、-または、都道府県の指定を受けている福祉用具事業者に直接相談
- 商品購入
- 支払い方法は市町村により異なる
(先に全額負担する場合もあれば、はじめから1割分のみを支払う場合もある)
<福祉用具をうまく活用して安心した生活環境を整えよう!>
在宅介護は体力的にも精神的にも、そして金銭的にも負担が大きくなります。
適切な福祉用具を選び、生活環境を整えれば家族や本人の負担を軽減することができます。
介護する家族と本人が互いに安心して日常生活が送れるように、福祉用具をうまく活用していきましょう。
出典:厚生労働省 (mhlw.go.jp)「介護給付費等実態統計月報」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/kyufu/19/dl/02.pdf
参考
【はじめての方へ】福祉用具をレンタルするときに知っておきたいこと|LIFULL介護(旧HOME'S介護) (homes.co.jp)